『読んでいない本について堂々と語る方法』大意これだけ+α

ピエール・バイヤール、大浦康介『読んでいない本について堂々と語る方法』は、4年前に文庫化されてから11刷を重ね、その評価はある程度に固まったといえる。

本記事は、今さらこの本を買う気もしないが、内容は気になるという読者を想定し、本書の梗概を提供しようとしている。実は、本書の魅力は本筋以外からそれた、引用やちょっとした文学批評にもあるのだけれど、本記事ではそれらを思い切ってすべて省き、本筋のトピックと論理だけを拾い上げ、さらに簡潔になるように全体を再構成した。だからものの数分もあれば概要が把握できるものになったと思う。もちろん、再構成とはいっても、本書の重要な主張や論理的関係は保存するようにつとめた。

そういう記事であるから、この本を読んだことのある人が、その内容を確認しようという目的にも役立てることができる。

5項あるが、「特徴と大要」と「内容の要約」だけで本書の概略はわかる。それ以下の項は、このブログにもう少し時間を割いてもよいとか、本記事に批判を加えたいとか思った人のためのものにすぎない。

  • 特徴と大要
  • 内容の要約
    • 書物の読まれ方と語られ方——議論の発生まで
    • 書物の語られ方⑵——議論の場の特徴をラディカルに利用する
    • ゴールとしての批評
    • たちかえって、書物にどう向かうべきか?
  • かんたんな考察——理論の射程
  • 予告
  • 本記事の読者諸氏へ
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'20年10月のおすすめ

「今月のおすすめ」では、最近触れたもので、特に薦めたいものを紹介する。

目次

  • ボトルコーヒー:FIRE ONEDAY BLACK
  • 写真集・解説書:岡本信明等『ジャパノロジー・コレクション 金魚』
  • 音楽プロジェクト:AKROGLAM
    • ASTRAM『イルシオン』
    • RUBYSTAS『Sympathy』
    • MINERALS『Show Your Eyes』
    • AKROGLAM
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熊野純彦『西洋哲学史』紹介

簡単な紹介

岩波新書から上下2分冊(計600ページ弱)で出ている。

西洋哲学史―古代から中世へ (岩波新書)

西洋哲学史―古代から中世へ (岩波新書)

  • 作者:熊野 純彦
  • 発売日: 2006/04/20
  • メディア: 新書
 
西洋哲学史―近代から現代へ (岩波新書)

西洋哲学史―近代から現代へ (岩波新書)

  • 作者:熊野 純彦
  • 発売日: 2006/09/20
  • メディア: 新書
 

2006年と少々古いが、熊野氏が東大の有名な学者であることもあってか、哲学史といえばこれを推薦する人が多かった、、、、。今思いつく典型的な例では、小田部胤久『西洋美学史』(東大出版、2009年)が別格扱いで推している。多かった、、、、と言ったのは、今年同じ東大系の「世界哲学史」シリーズ(ちくま新書)が刊行されてから、みんなこぞってそちらを持て囃しているように感じるからだ。私も「世界哲学史」が刊行されたにあたり、その前のスタンダードを振り返っておこうと思って再読した。

目次

  • 簡単な紹介
  • 特徴・良い点
  • 批判すべき点
  • 功罪相半ばする点
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水ではなく風の季節

雲の中で最も重い雲である積乱雲が玉座に構えている時期、地上の万物は空気ではなく熱水のなかに棲み、あざやかな赤屋根が跳ねる鋭利な光も、水面の反射光のようにうるんでいる。人間は自分たちが水の重さに耐えられないことを訓えられ、ただ原子力が原子炉を熔かしてしまうように、脳髄と肉体を蕩尽しえない火照りに苛まれている十代だけが、ますます特権的な力を水から享けとるその間にも、天上では季節のクーデターが準備されていて、八月三十一日と九月一日の境界線が巨体な王を断首し、その断面から流れ広がった血のような巻雲が、やがて光線の皮膚をあいまいにぼかす。その日はちょうどこのような、初秋を報せる朝だった。東向きのヴェランダに出ると、日差しはもう目をつぶらせるほど眩しくなく、空はもう感傷的なほど青くなく、やや乾いた北風に、新しい季節がかぎ取られた。私は外に出ようと思った。愚かしくも、風の訪れを祝福しようと思っていたのだ。

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ブログを作った

ブログを作った人はまずブログを作ったという記事を書く。とはいえ、このブログは何をしたいのか、私は何者か、ということはAboutページに書いた。気にする人はいないと思うけれど。

私が今から書くのはもっと日記に属するようなことだ。

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